腐食していく自分 怠惰な生活
ダメだとわかっていても抜け出せず、
戻って来ない過去に想いを馳せるだけだった
異変は唐突に
最初は、違和感
- 気のせい と、思った
“声”
男、または女
低かったり、若かったり
定まらず、時それぞれ
怪しい甘さを纏って
誘惑するような言葉もどきを囁く
- 声がした 時折 ふとした瞬間
“触感”
触られた
味わうように、
足を、手を、撫でられた 舐められた
- 残るのは 感触 だけ
一時だけ 慣れてるいつもの“アレだ”
いつかは忘れる出来事
- で、あったなら
“階段を登る足音”
ベッドの上
いつもだったら無音の家
起きようとしても身体が動かない
でも目は開く
近づくにつれわかる敵意
気配は枕元まで迫ってきて
ぬるっ。
- 現れた
どす黒い影 或いは 暗い霞
“それ”は無表情で俺を見ていた
顔はないのになぜかわかった
- 瞬間
身体が動く
というよりも反射的な反応で
俺は、掴み掛かった
- 人の感触
本棚の方へ押し倒した
けれど、無音
- 俺ひとり 立ち尽くしていた
現実が曖昧になった
想像の産物だったのか
でも、あの感覚、あの感触は、
いや 違う だから
- 夢 ということにした
*
*
*
料理を作る”音“
- たぶん母親
暖かい気持ちの寝起き
聞こえる階段を登る“音”
- たぶん姉
いつまで寝てるんだと言われるんだろう
やかましい けれど 心地いい 朝 に
- 違和感
近づく“足音”
違う
- 敵意だ
階段を登り切った“足音”
視界に現れた“無表情の姉”
金縛りに遭う身体
定まらなかった視線をそのままに
首が機械的にこちらを向いた
目だけがギョロリと動いて、目が合い
- 気づいた ことに 気づかれた
ドロり
崩れていく姉の顔
それでも無表情さは保たれている
ドン ドン ドン
無理矢理に肉体を動かすような動作で
淡々と 走って 来る
ドンッ
俺の上に飛びかかる 姉だった“なにか”
- 声が出ない
跨った“なにか”は、ゆっくりと
俺に手を伸ばし、触れようと した 刹那
- 上半身だけが動いた
あるのは怒りだけだった
押しのけて
床に転がし
腕を折った
あと、、、
- 気づけば、また 俺ひとり ベッドの上
汗ばむ身体 荒い息 力んだ手
嫌がらせみたいに感触のみが消えていた
夢のようだった
じゃなくて
夢にしたかったから
だったのか
でも感覚は、鮮明に覚えてる
曖昧になってく現実感
- これで終わりだと思っていた
*
*
*
“階段を登る足音”
今度はなんだ
友達か 元カノか 芸能人か
ベッドの上
硬直する身体
開かない瞼
- もう何度目だ。慣れがあった。
近づくにつれ、大きくなる敵意
- じゃない
殺意
強い 強い 殺意
- 今度こそやばい
“足音”は緩やかに
でも 音、気配は 人間じゃないようで
来る/動け
来る/動け動け動け
来る/動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け
目が開いた 眼前 間近にいる黒い“なにか”
いつもの無表情
そして
じっと見つめられるような感覚
- 死ぬ
- 嫌だ
- この終わり方は嫌だ
パキッとした音が聞こえて
動いた身体
俺は無我夢中であいつを押しのけた
首を掴んで、締める
なぜか されるがまま
- 今のうちだ
さらに強い力で、思いっきり締めた
生肉みたいな嫌な感触が手に伝わる
頬を伝う汗が床に落ちて、
和らいだ焦り
無意識に閉じていた瞼をゆっくり開いた
真っ赤な口を広げて“あいつ”は笑っていた
強烈な腐臭がした
そのあとの記憶はあやふやだ
- もう だめだと思った
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新版これは夢か現か
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