「で!だねぇ、、、いろいろ“条件”があるん、で、す、がぁ〜、、、」
ゴンッ。
少し痛い。アキに殴られた、、、
「こらっ!大事なことなんだからちゃんと話しなさい!」
「はーい」
- うぅ、、、
- わかるけど拳骨はしなくていいじゃん!
アキを見たら睨まれていて、
(また暴走したお前が悪い)
って思考で怒られた。
- あ、、、
今度は諭すような目で、
(お前が頼んだんだろう?)
- ふふんっ!
- そっか。私のためか!
- じゃあね?ちゃんとしよう!
「まぁざっくり言うと私の正体を詮索しないで欲しいというか、私を人間だと信じて欲しいっていうか、、、」
- 正直に言い過ぎた、、、?
千葉が残念なものを見る目をしながら、
(だいぶ、無理がないか、、、?)
って思考が漏れ出してた。
- だよねぇ、、、
- あきぃ、、、ほんとに大丈夫?
*
*
*
ちょっと前に街で偶然、見かけた?っていうか感じた。
狐道で見かけた人間と、似た霊力・霊格の人間を
もしかしたらもしかするかも!ってアキに話したら、複雑な表情をされた。よくわかんないけど。
まぁそれでね。鬼海なら知ってそうって思って問い詰めたら、案の定の大当たり。依頼も引き受けることにはなったけど、まぁいい。
千葉を、ようやく見つけた。
それからは長かった。けどつい最近、鬼海から連絡が来た。三日後に来ると。つまり今日。
ようやく会える。そう思ったのに、、、
全然来ない!
家の住所まで問い詰めるべきだった。
もう日が暮れたぞ、、、?本当に来るのか?
ああ!遅い!遅すぎる!もう待ちくたびれた!!こんなに遅いなんて聞いてないぞ!!!
もういっそ病院に突撃して喚き散らしてしまおうか。
そう思った。ちょうどそのとき
ガチャ、ギィーーッ。カランカラン。
下から聞こえてきた来店の鈴。アキの声。それからあの男の声。
- 狐道で見かけたあの光景
- 私と一緒に歩いてたあの人間
- そいつの声だ!!
- 覚えてる!!
- きっとそうだ!!
- よし!!!!
「来たな!!!!」
- ようやく!
- ようやくだ!!
- あの不確かな未来に!!
- 焦がれたあの未来に近づいた!!!
寝転がっていた姿勢から、飛び起きた。
積まれた漫画が崩れ落ち、缶ビールが小さくない音を立てて転げ落ちる。でも気にならない。気にしていられない。
赤い羽織りをハンガーから掴んで袖を通し、駆け足になりかけて
- おっと!
- 焦らない焦らない、、、
まずは見た目を整えないと。鏡を見て少し髪を整える。第一印象が肝心だよね。
- ああ、でも、待ちきれない
- 切望したあの未来
- 未来で見たアイツ、に、会える
鬼海にはなんて言われた?イナリには神だったとバレるなって言われたな。だから契約をするんだ。私は学んだんだ。あ!そうだ!鬼海は、千葉なら『特別な景色でも見せればいいんじゃない?』って言ってた!こんだけ待たされたんだ!千葉には先出しで僕の記憶を見せてやろう!!なにがいいかな、、、
軽い支度を急いでこなし、
それ以上の速さで思考が回る。
気がつけば階段を降りていて、、、
- いた!!
- あいつだ!!!!
- やっと、、、
- やっと会えた!!!!
*
「会えて良かった」
*
「、、、本当に、、、こうして話せているってことは、、そうだよね!うん!近くで見ても間違いないのだ。ああ!!」
- やった!!
あれ?でも、なんか、、、違う?
見た目も声も、、、同じ、、、じゃあ霊格?、、、そうだよ!霊能力だ!!狐道で見たアイツに比べて弱い、、、なんでだ!?でも正体はバレにくいし、都合がいい?、、、うん!いいや!
「ん?あぁ、、、あ!“これ”が言ってたやつか。まぁいいですかね」
- 鬼海が言ってたやつか。
- 確かにアイツには無理だな。
- 煩わしい、が、まぁいい。
- 契約の恩恵に使えそうだしな!
- いや、ほんとうに都合がいい!!
*
*
アキに怒られた。でもいい。これくらい。
そうだ。アキに言おう!!
「ようやく会えたんだ!鬼海のとこにいた!」
「そう、、、なのか。よかった、、、な」
(候補じゃなくて本物だった、か)
「アキ!ねぇ、アキ!やっと会えたんだよ!これでようやく!あの未来に、、、」
「落ち着きなさい」
「でも!だって!」
(バレるぞ?)
「うぅ、、、」
「まず、ちゃんと説明をしなさい!」
「ウチで働く!!」
「は?」
「鬼海のとこの患者だったの!だから貰った!」
「はぁ!?!?」
(ざけんじゃねぇよ。ちゃんと説明しろ!!)
*
*
(やっぱり“契約”するのか?)
- だってイナリが言ってたから、、、
(お前のポリシーに反するんじゃないか?)
- だけど!!
- オレは、、、私は!人間と思われたい!
(はぁ、、、わかった)
「ナギ。だったら相手の話をちゃんと聞きなさい。そして目の前の相手をしっかり見ろ」
「わかった、、、」
*
- まずは落ち着いて〜
「ねぇ〜酷いと思いませんか?」
(お前の口調の変化の方が酷いわ)
「それよく言われんですよねぇ」
- でも、面白いじゃんね?
- それにボクは覚えてる
- 時代は変われどアイツらのことを、、、
- 絶対に忘れない
*
*
( コイツは、なんだ?)
「だからだからだから!人間だって言ってんじゃない!?」
- なんでわかってくれないんだよ!?
神威が暴発した。そして受ける
“罰則”
*
ああ!!もう!!なんでだ!?!?
我は!俺は!人間だって!!
言っておろうに?!?!
なぜに話が通じんのだ!!!そして!
こんなにも、つまらない男だったか!?
期待を返してくれよ?なぁ?
なんでここまで生に希望がないんだ?!
あぁ!そうだ!じゃあ!
死後の世界を見せてやろう!!
*
「もういい!!話が進まんけぇ!!そうだなぁ、、、地獄!地獄ならば多少はまぬがれるし、、、おい!千葉!」
「あぁ?」
「“取り引き”です。面白いものを見せてやるから、吾輩がする話を信じろっ!!」
(意味わかんねぇ)
- この凡愚が!
- 説明しないとわからぬのか?
「おまんが今までしたことはないであろう‘体験’を、僕が、させて、あげる、って言ってるんだ」
- さぁ、、、どうする?
目が合った。
千葉の瞳に熱が、火が、灯った、宿った?ように、私からは見えた。
思考じゃなくて視覚から、、、
だから、聞いた。
「見てみたいか?」
(見てみたい)
- よし
「ならば了承するが良い」
「わかった」
- いいだろう。とくと見よ!
*
*
*
“罰則”
うがっ!あ“あ”あ“あ”!!
あああああああああああ!!!
グゥ!くっっっっ!!!っっっそ!!!
っっっっってぇ!!!あ“あ”あ“あ”!!
全身に響く雷みたいな痛み。自業自得とかうっせぇ!わかってる!我が制定した“禁則”をボク自身が破ってる!わかってる!!うっせぇなぁ!!いい加減にしろよ!!クソッタレ!!
*
*
「ちっ」
あれは契約にはならなかった。私がしようと思ってた本来の契約じゃなかったからいい。でも、くそ、、、いてぇ、、、
先走りすぎた、、、どの禁則だ?頭がまわらん。
- まだいてぇ、、、
*
「はぁ、、、」
「大丈夫か?」
アキが水をくれた。
霊力は千葉と繋がったまま。
まだ地獄を見てるな。
- あの姿を見られずに済んでよかった。
「大丈夫大丈夫。あははは」
「馬鹿野郎」
「ごめんね。でも今は千葉を見ないと」
「当たり前だ。なんでこんなことをした?地獄を見せるなんて、、、」
「でも鬼海が、、、あいつも来るの遅かったし、、、」
「精神崩壊してもおかしくないんだぞ!ちゃんと人間を理解しろ!早く見守れ!危なかったらすぐ戻すんだぞ!」
「うっ、うん!!」
慌てて目を閉じる。意識する。
千葉と繋がった霊力から、思考を読み取る。
|
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- ってあれ?“冥境”まで見てない!?
- そうだ!地獄の真上にあったや!!
- 忘れてた!!
- やばいやばいやばい!!
- 早く切らなきゃ!
- あれは、さすがに、壊れる!!!!
- 、、、ん!?
- 順応した!?!?
- すご!!
- こいつ意外とオモシロ!
- え、描く?
- 地獄をか?
- なに?憧れ?
- 意味わかんねぇ!ぶっとんでんな!!
- ってかウチの感情丸見えやん!
- はずっ!うわ!!
- え、どうしよ、、、やめたい、、、
- でも必死だしなぁ、、、うぅ、、、
- がまん、、、がまん、、、
*
- あ!そういえば!
- トカから視線を感じたんだった!
- それで目が合った時だ!!
- ってかアイツ、千葉の視線に、、、
- ああ!アレってそういう、、、じゃない!
- まじやばい!
- トカはやばい!!
- 人間には危ない!!!
- 今度こそ本気で壊れる!!!
- 早く切ろう!!!
- ごめんね!!
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プツンッ。
千葉との霊力のつながりを切った。
そしたらすぐ
(描きたい)
(描かなければ)
思考を見ようと意識していたおかげで、霊力の切断後も大量の思考と感情が流れてくる。
これは欲求や煩悩ってよりも執念だ。
「はは!マジで面白れぇなコイツ」
私がずっと待ってた男。千葉詩生《ちばうたき》
最初は期待外れと思ったが、地獄を見せてから、うん、一変したねぇ、、、
“罰則”は計算外だったけど、まあ、うん、まぁいい。いいんだよ、、、
考えなしとかじゃないもん。うん!
- まぁいい!!
地獄を見せようって思ったのは、うん、一応ね?思いつきだったけどね。そこは良い判断って認めてもいいかな。だって、、、
- 見せてよかった!!
期待ハズレは撤回しないとなぁ、、、こんなヤツだとは思わなかった。表層だけじゃなくて奥まで見てみたいな。
- アイツは何を抱えてる?
- 気になるなぁ。
っていうかトカの言った通りになってんじゃん。アイツまじなんなの!?意味わかんない!
「はぁ、、、」
嫌でも勝手に記憶が蘇る。
確か、地獄の視察、千葉に見せた記憶のちょうどあとだったような、、、冥境、この時は“冥廻境”だっけ?どうでもいいか。
なんか目が合った理由を聞きに行ったんよね。
*
*
*
「お主、先程の記憶を、いつか誰かに見せるじゃろうな」
「来てそうそうなんなのさ!?」
「見せるならつまらん“ぬるま湯”じゃのぉて“ここ”でよかろうに」
「いやどっちも見せたいと思わないよ」
「なぜじゃ?美しいじゃろぉ!」
「トカはね、、、」
「つれないのぉ。そもそもの話、お主が、己の意思で、ここに来たんじゃろぅ?滅多に来ないお主がな。別に本座には関係ないことじゃがのぉ」
「うっせぇなぁ!いいじゃん!!べつに!!」
「大方、あの愚物に嫉妬でもしたか?羨望の裏返し、じゃな。阿呆らしい正義感が先走ってる愚物と違って、お主は、本当に、かわいいのぉ」
「もう帰る!!」
「わかっておろうな?図星というやつじゃぞ。ほんに愛いやつじゃのぉ。よいよい」
「さっきからなんなのさ!」
「本座はのぉ、、、
お主の欲望を肯定している。それだけじゃ」
「そう、、、じゃあ忙しいから帰るね」
「いつでも来い」
「出来たら」
*
*
*
トカは最後まで微笑んでたな。邪悪に。
- 本当に意見が合わない
- 欲望を肯定している?
- トカにされてもな、、、
- でも
懐かしい。いっつも偉そうなんよねぇ。妙に色っぽい服ばっか着てるし、、、目のやり場に困る。そのくせ距離が近いし、、、特にあの燃え盛るルビーみたいな瞳。やっぱり苦手。
うん。
でもいろいろ思い出してきた。
真っ赤な髪を豪勢に結って、
いっつも寝そべって、冥境を眺めてる。
無茶苦茶に派手で豪奢な城の天守閣で。独り。
うん。
- イナリとは大違いだ
- うん!
なんか猛烈にイナリに会いたくなってきた。
- あぁ、、、
- 会いたいなぁ、、、
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新版第五話・上 会いたい
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